素晴らしいビジネスアイデアを持っているけれど、スタートアップ資金が不足しているのでしょうか。ご安心ください。起業家として歩み始めることを諦める必要はありません。少ない資金や自己資金ゼロでもビジネスを始める方法はたくさんあります。今回は、ビジネスをどのように立ち上げ、稼いだお金をビジネスに再投資できるようになるための方法を探ります。
資金ゼロで始められるビジネス5選
ビジネスモデルによっては低予算のものもあります。新たに起業家としてスタートするのであれば、詳細を解説していくこれらの分野を検討することをお奨めします。
ドロップシッピング
ドロップシッピングは、在庫を持つ必要がない低投資のビジネスです。ベンダーは商品を販売した場合にのみ料金を請求し、顧客に直接発送もします。これにより、世界中どこからでもドロップシッピングが可能となります。
「THE ECOM KING」として知られる起業家のカミル・サッター氏は、ポッドキャスト「Shopify Masters」で、「ドロップシッピングの素晴らしい点は、住んでいる場所によって評価されないことです」と語ります。
ドロップシッピングで成功する方法:
- トレンド商品を仕入れる:「今日、トレンド商品を見つけるための主要な指標TikTokです」とサッター氏は言います。また、ソーシャルメディアアプリで「Amazon 発見」や「#tiktokmademebuyit」(TikTokのおすすめ)などのキーワードを検索し、在庫を持つドロップシッピングサプライヤーから5〜10個の低価格帯の商品を仕入れることを推奨しています。
- オーガニックマーケティング戦略を使用する:サッター氏は、ビジネス用に新しいTikTokアカウントを開設する前に、商品を紹介するショート動画を30日分撮影することを推奨しています。
- eコマースウェブサイトのベースを立ち上げる:Shopifyなら月額3,650円から始められます。
オンデマンド印刷(POD:プリント・オン・デマンド)
プリント・オン・デマンド(POD)サービスは、トートバッグやTシャツなどをプライベートブランドの商品としてデザインすることができ、注文ごとに販売します。「在庫を持たずともオリジナルのアパレルブランドをすぐに立ち上げることができます」とサッター氏は言います。
プリント・オン・デマンドのメリット:
- 最小限の初期コスト
- 在庫するコストが不要
- 製造に投資する前に人気商品を確認できる
ヨーロッパのアパレルブランド「#muhoov」の共同創設者であるキャサリン・リーベルト氏は、「私たちはプリント・オン・デマンドサービスから始めることで、初期の運営投資を0にすることができました。本質的には、アイデアを検証するためのウェブサイトが出発点となりました」と語ります。
サービスベースのビジネス
サービスベースのビジネスは物理的な商品を販売するのではなく、時間とスキルを販売するため比較的低コストで始められます。個人起業家としてスタートし、需要が増えるにつれて従業員を雇ってスケールアップできます。
「十分な資本がない場合、自分が持つ経験や知識、スキルなど、持ちうるリソースを活用して始めましょう」と、「Japanese Green Tea Co.」のオーナーであるケイ・ニシダ氏は言います。
人気のあるサービスベースのビジネスアイデアには次のようなものがあります。
- フリーライター
- バーチャルアシスタント
- ソーシャルメディアマーケティング
- バーチャルショッピングサポート
サービスを他のビジネスモデルと組み合わせることもできます。例えば、クローゼットを整理するサービスを提供して、クライアントが不要になった物をオンラインで再販するストアを運営すれば、パッシブインカム(不労所得)を得ることもできます。
デジタル商品
インターネット接続さえあれば、デジタル商品を作成して販売することができます。まずは人気のあるテーマで有益なコンテンツを構築し、アイデアを以下のようなデジタル商品にパッケージ化してみましょう。
- 電子書籍
- オンラインコース
- ワークシート、テンプレート
- 写真のプリセット(加工)
デジタル商品は拡張性が高くスケーラブルで、一度作成すると何度でも販売することができます。Shopifyのアプリ「Digital Downloads」を使用すれば、簡単にデジタル商品をオンラインで販売することができます。
ハンドメイド商品
オンラインストアや「Etsy」のようなマーケットプレイスを通じてハンドメイド商品を販売することで、趣味を副業に変えることができます。これには他の選択肢よりも多くのスタートアップ資金が必要ですが、次の方法ならコストを抑えることができます。
- 小規模から始める:クリステン・パンフリー氏は、自宅であるマンションでキャンドルを作り、DYIビジネスである「P.F. Candle Co.」を立ち上げました。
- クラウドファンディングを利用する:ハリー・ドウル氏はフルタイムで働きながら、クラウドファンディングを通じて「Keap Candles」を共同設立し、有名ブランドに成長させました。
- 素材をアップサイクルする:「The Sage Vintage」のケイト・サリバン氏は、ヴィンテージの飾りを使ってジュエリーを作っています。また、「Suay」は廃棄された生地を利用してパッチワークによる衣服を作っています。
資金ゼロでビジネスを始める方法
具体的な内容は選択したビジネスの種類によって異なる場合がありますが、事業を始めるための基本的なステップは同じです。
1. ビジネスプランを書き出す
ビジネスプランは、ビジネスを運営して成長させるためのベースとなります。ビジネスプランには次のようなメリットがあります。
- 潜在的な課題を予測する
- 決断に迷った時の道筋を照らし出してくれる
2. コミュニティを見つける
他の起業家と繋がると、ビジネスの立ち上げに関する貴重なアドバイスを無料で聞くことができるでしょう。
- ネットワーキングイベントに参加する
- バーチャル会議や対面会議に参加する
- オンラインのネットワーキンググループに参加する
- ビジネスメンターを見つける
3. ビジネスの名前を決める
まだ使用されていない、キャッチーで分かりやすい名前を選びましょう。選んだ名前はビジネスにおいて長きにわたって使用されることになるため、自分が気に入る名前であり、将来的にスケールアップや方向性を転換した場合でも使えるようなものを選ぶとよいでしょう。
気に入ったビジネス名を見つけたら、ドメイン名やSNSでのアカウント名など、オンラインアセットも一致できるように確保しましょう。
4. ブランドを立ち上げる
ブランドを構築することは、単に名前やロゴを決めるだけではありません。例えば次のようなことが含まれます。
- ブランドの価値と使命ステートメントを定義する
- ブランドのデザイン観を構築する(カラーパレット、フォント)
- 写真のスタイルを確立する
- ブランドの声やトーン(口調)を構築する
- 雇用に関する概要を説明する
- ブランドストーリーを伝える
Shopifyの「ロゴジェネレーター」やブランドガイドのテンプレートなどの無料リソースを活用することから始めてみましょう。
5. ウェブサイトを作成する
基本的なウェブサイトは、オンライン訪問者のための目的地や商品やコンテンツが集約された場所として機能します。ニーズに合ったプランを選び、テーマ別の商品ページ、チェックアウト、ブログなどのプロフェッショナルな機能を備えたフル機能のウェブサイトを構築しましょう。これにより、潜在的な顧客に商品やブランド、サービスについて知ってもらうことができます。
オンラインで販売するのにシンプルなストアの構築でよい場合は、Shopifyの「Starterプラン」なら月額わずか750円です。TikTok、Instagram、その他のSNSプラットフォーム向けの強化された販売機能を付属しており、メール、SMS(ショートメッセージサービス)、対面での販売を行うための機能も備えています。
6. アイデアを検証する
在庫を十分に持つスタートアップ資金がない場合は、予約注文(プレオーダー)モデルを使用してビジネスを運営することを検討するとよいでしょう。予約注文を受け付けると、生産を開始する前に前払いで商品代金を回収できることができます。これは、新しいブランドの注目を集めるための優れた立ち上げ戦略でもあります。
「Natural Girl Wigs」の創設者であるレミ・マルタン氏は、フルタイムの仕事をしながらこのアプローチを検証しました。彼女は商品アイデアを紹介するためにInstagramページを立ち上げ、「人々が商品に興味を持っているというフィードバックを受け、自然な髪を好む人々のために特別に作られたウィッグの市場に可能性があるということが分かりました」と彼女は言います。
レミ・マルタン氏は、ECサイト「Natural Girl Wigs」を立ち上げる前に予約注文によりビジネスアイデアを検証しました。
ヘアスタイリストと共同で商品を開発した後、予約注文によりローンチしました。「ビジネス開始から最初の60日間で50個も販売しました。最終的には、在庫を購入し、マーケティングを行うために1,000ドル(約15万円)をビジネスに投資しました」と彼女は話します。
7. 成長のための資金を確保する
資金ゼロの状態で始めたビジネスが小さいままで留まる必要はありません。得られた収益をビジネスに再投資し、さらなる収益を生むビジネスへと成長させましょう。
お茶を取り扱う会社「Hojicha Co」の共同創設者であるフランソワ・マチュー氏は、次のようなブランドのアプローチを語ります。「利益のほとんどは在庫と広告に再投資しています。外部からの投資に頼る必要がないように、健全なペースで成長するように努めています。」
ビジネスをスケール(拡大)する場合は、資金調達のために次のような選択肢を検討することをお勧めします。
- Shopify Capital:Shopifyの融資機能は、店舗のキャッシュフローを増やしてベストセラー商品の在庫を維持するのに役立ちます。
- 中小企業向けビジネスローン:給与や在庫資金、マーケティングのために、融資サービスにより大きな資金を確保します。
- 資本投資家:エンジェル投資家やベンチャーキャピタリストは、株式と引き換えに現金を提供します。
- 中小企業向け助成金:特定の基準を満たす中小企業向けに対する一時金で、返済が不要な場合があります。
「Precious Ones Photography」のアリシア・ホー氏は、写真への興味がビジネスを始めるきっかけとなり、最終的に素晴らしいアイデアを次のステージに進めるためにビジネスローンを申請しました。
アリシア・ホー氏は、写真によるビジネス「Precious Ones Photography」を資本金0円で始めました。「友人や家族が私の作品に注目してくれ、クライアントを引き受けながら少しずつお金を稼ぎ始めました」とホー氏は振り返ります。スケールアップする準備が整った時、ホー氏は若い起業家へのローンや奨学金を提供する地元の非営利団体を見つけたそうで、「これが私のビジネスにとって前進するための最良ステップとなりました」と語ります。
資金ゼロでビジネスを始める際のよくある質問
資金ゼロで始められる最も簡単なビジネスは何ですか?
ドロップシッピングは、初期資金なしでビジネスを始めるための最も利用しやすいアプローチの1つです。顧客が購入した場合にのみ在庫に対して支払いが発生するため、倉庫の保管料や大型製品などの製造コストが不要です。オンラインビジネスのため自宅で始められ、限られたリソースでスタートする起業家にとって理想的な選択肢です。
資金ゼロで始められるビジネスは何ですか?
オンデマンド印刷(POD:プリント・オン・デマンド)は、最小限の投資で始めるのに最適な選択肢です。無料のオンライングラフィックデザインツールを使用してカスタムデザインを作成し、「Printful」などのサービスを利用して商品にデザインを加えします。注文が入った時にのみ製作費を支払います。その他の低コストのビジネスアイデアには、ソーシャルメディアマーケティングのコンサルティング、フリーランスの執筆、サービスベースのビジネスなどがあります。
ビジネスを始めるのにどれくらいの費用がかかりますか?
ビジネスを開始するための費用は、選択したモデルによって大きく異なります。小売スペースのように多額の初期投資が必要なビジネスもあれば、インターネット接続さえあれば始められるビジネスもあります。ドロップシッピングやオンデマンド印刷、デジタル商品の販売などのモデルを利用すれば、資金ゼロでビジネスを立ち上げることも十分に可能です。