商品マーケティング戦略は数多く存在します。でも、どれほど創造的であっても、さまざまなマーケティング手法を組み合わせれば必ずしも魅力的なマーケティング戦略になるわけではありません。商品とビジネスモデルに最適な手法やチャネルを見つけるには、戦略的なアプローチを取ることが重要です。
そのためには、ターゲット市場のニーズに応える必要があります。Eコマースの専門家であるドリュー・サノッキの「3つの乗数フレームワーク」を用いれば、ECビジネスのマーケティングが三次元的であることを理解できます。
マーケティング活動を通じて持続可能な成長を構築する3次元は次のとおりです。
- 顧客の総数を増やす。
- 一人当たりの購入回数を増やす(購入頻度)。
- 平均注文額(AOV)を増やす。
商品マーケティングを大規模に成功させるには、3つの要素すべてに取り組むのが最善です。記事を読み進めて、顧客基盤、売上、収益を成長させるベストプラクティスを学んでください。
成果を上げる商品マーケティング企画10選
- ロイヤリティプログラムを導入する
- リピーターメールキャンペーンを作成する
- メールまたはSMSのサインアップクーポンコードを送信する
- 新商品を定期的にリリースする
- サブスクリプションモデルを構築する
- 平均、中央値、最頻値を活用する
- クロスセルとアップセル戦略を完璧に
- 有料マーケティングから始める
- 教育的なSEOコンテンツを公開する
- トラフィックのコンバージョン率を上げる
顧客基盤は庭園のようです。顧客を大切にすれば、顧客が享受する価値と、マーケティングの見返りとしてあなたが獲得する価値の両方を育てることができます。たとえば、顧客はフラッグシップ製品を手に入れて大きな価値を享受するかもしれませんが、再購入すればもっとたくさんの価値を享受できます。
ロイヤリティの高いリピート顧客も価値を増幅します。顧客が2回目の購入をすると、彼らを獲得するためのコストを支払う必要がなくなり、同じ趣味を持つ友人にストアを推薦してくれるかもしれません。リピート顧客は、オンラインで商品を成功裏にマーケティングする方法を学ぶ最良の手段の一つです。
ただし、リピート購入を呼び込むのにコストが要らないわけではありません。ターゲットオーディエンスをしっかりと見極め、戦略的に投資する必要があります。あらゆる事柄がリテンションを左右するとはいえ、ブランドが最初に取り組むべき3つの主要な要素があります。
顧客リテンションの3つの要素:
- 商品。顧客は自分のニーズに合った商品を求めています。また、期待を上回る高品質なアイテムを探しています。人気商品を見つけたら、それをウェブサイトの目立つ場所に配置してください。その商品を最初に購入した顧客は、再購入する可能性が高いです。
- 顧客体験。素晴らしいカスタマーサービスを提供するのに高額な投資が必要なわけではありませんが、予想外のうれしい経験を提供する必要があります。たとえば、顧客が必要とする時に対応することや、あらゆる注文に対して無料返品を提供することなど、シンプルなことです。
- マーケティング。適切なマーケティングを適切な顧客に適切なタイミングで実施する必要があります。使用できる戦術には、アフィリエイトプログラム、リピーターメールキャンペーン、ライフサイクルマーケティング、ロイヤリティプログラム、顧客を呼び戻す限定商品の定期リリースなどがあります。
では、顧客リテンションマーケティングを詳しく見てみましょう。顧客の注文頻度を上げるには、特化したマーケティング計画が必要です。一般に成果を上げている商品マーケティング戦術がいくつかあります。
1. ロイヤリティプログラムを導入する
ロイヤリティプログラムを導入するのは登録者に特典を提供する素晴らしい方法です。研究によると、ブランドロイヤリティプログラムへの参加は、顧客がブランドとの取引を続けるかどうかに影響します。パーソナライズされたカスタマーサービスなどの他の要素よりも重要な影響があります。
ロイヤリティプログラムは、無料で参加できるものもあれば、一度限りまたは定期的な料金を支払って参加できるものもあります。たとえば、アクティブウェア小売業者Altitude Sportsの会員は、34.99ドル(約5,237円)の生涯会員費を支払います。会員はほぼ全アイテムが5%オフ、限定セール、すべての注文について無料返品などの特典を享受できます。
一方、無料のロイヤリティプログラムでは、顧客が購入ごとにポイントを獲得し、さまざまなポイントティアでポイントを報酬に交換できるポイントシステムを利用できます。ほかにも、衣料品小売業者Girlfriend Collectiveの報酬プログラムでは、ポイントと特典の両方を提供しています。
ロイヤリティプログラムが成果を上げるのは、顧客に具体的な価値を提供することで、オンラインストアに戻ってくる理由を与えるからです。顧客は蓄積したポイントを使って無料ギフトを受け取ったり、無料配送を受けたり、購入価格の一部を割り引いてもらったりしようとストアに戻って来るのです。
2. リピーターメールキャンペーンを作成する
すでにストアを訪れて購入を完了した購買意欲の高い顧客とつながる重要ツールがメールです。リピート購入を促す時に使うチャネルとして理想的です。メールマーケティングは、しばらく購入していない既存顧客を再びストアに呼び込む非常に効果的な方法でもあります。
商品マーケティング戦略の一環として作成できる価値あるメールキャンペーンの一つは、リピーターキャンペーンと呼ばれます。ライフサイクルマーケティングの一種で、顧客がカスタマージャーニーのどの段階にいるかに基づいて顧客を引き込もうとするものです。リピーターキャンペーンの場合、顧客は購入後の段階にいるため、送るべきメッセージは再訪問を促すものです。
ドリュー・サノッキは、このタイプのリピーターキャンペーンをワンツーパンチと呼んでいます。目的は初回購入客をリピート顧客に変えることです。
リピーターキャンペーンの仕組みは次のとおりです。
リピーターメールキャンペーンのターゲットを特定する
リピーターメールキャンペーンは、初回購入客をターゲットに設定するのが一般的です。最初のメールは、初回購入から30日後に送信されます。期間内に2回目の購入がない場合です。その後の各メールは、初回購入客のリストに送信されます。また、リピーターメールキャンペーンの間に購入を行った顧客をリストから外すパラメータを設定する必要があります。
リピーターキャンペーンには、以下の4通の重要なメールが含まれるべきです。
メール #1: 商品を提案する
最初のメールでは、顧客の初回購入に基づいて、顧客が好むかもしれない別の商品を提案します。アイテムはコアコレクションの一部を構成することもあれば、限定版への興味を喚起することを目指す場合もあるでしょう。最初のメールにはクーポンコードを含めず、代わりに他の商品について思い出させたり、欲しいと思わせたりすることを目指します。
メール #2: ちょっとしたプロモーションコードを提供する
最初のメールから30日後に送信する2通目のメールでは、次回の注文で10%オフや無料配送などのちょっとしたプロモーションを提供します。
メール #3: より高いプロモーションコードを提供する
さらに30日後に送信する3通目のメールでは、前回のプロモーションよりも15%高い別のプロモーションを提供します。たとえば、25%オフや15%オフと無料配送のセットなどが考えられます。
メール #4: アンケートを送信する
このメールは、顧客の初回購入から120日後に送信するように設定すべきです。別のオファーを含めることもできますが、数ヶ月後の送信となるため、あなたのショップにまだ興味があるかどうかを尋ねるほうがよいでしょう。興味がない場合は何があれば気持ちが変わって購入を検討するかを尋ねる質問をアンケートを含めることができます。
アンケートを実施すれば、顧客の体験をもっとよく理解する助けになり、ブランドを改善するのに役立つ質問ができるようになるでしょう。
非アクティブユーザーの登録解除を忘れない
メールキャンペーンの終わりまでに、過去60日間メールを開かなかったり非アクティブだったりした購入者を自動的に登録解除する必要があります。上記のような最終的なアンケートメールを送信する場合は、否定的な選択肢を選んだ人に登録解除を提供することもできます。
リピーターキャンペーンに必ずしもメールを使用する必要はありません。メールがビジネスにとって最適なオプションでないなら、ウェブサイトのポップアップ、有料メディア、ポストカードのメール送信など、顧客に最も響くと思われる他のオプションを使用できます。
3. メールまたはSMSのサインアップクーポンコードを送信する
別の効果的なリテンション戦術は、メールマーケティングやSMSテキストマーケティングリストへのサインアップに対するプロモーションを提供することです。既存顧客と見込み客の両方を取り込むのに役立つ方法です。
SMSマーケティングを始める方法がわからない場合は、ShopifyプラグインPostscriptを試してみてください。
メールリストに注意を引くために、ウェブサイトを訪問した瞬間にポップアップを表示することができます。サインアップを促すため、メール、SMS、または両方を購読した人だけが受け取れる独占的なプロモーションを提供します。オファーの内容は、無料配送や初回注文で10%オフなどが考えられます。メールリストに登録した人にコンタクトできるようになるだけでなく、プロモーションを利用して購入する意欲を高めることができます。
リソース:SMSマーケティングでノイズを打破する方法—試すべき4事例
4. 新商品を定期的にリリースする
新商品のマーケティング方法を探しているなら、毎週または毎月同じ日に商品を発売することを検討してください。顧客が新発売の日付を知っていれば、ウェブサイトを訪れて新しいものを物色したり、少なくとも発売メールを開く可能性が高くなります。
Mejuriは、日常使いの高級ジュエリーを販売するウェブサイトで、デザインテーマに沿った新商品を毎週発売し、顧客が定期的にチェックするようにしています。
ブランドの大ファンである好奇心旺盛な顧客にとって、毎週新しい何かを楽しみにできます。「月曜日の新発売」がホームページとタイムリーな発売メールで特集されています。
5. サブスクリプションモデルを構築する
以外に聞こえるかもしれませんが、商品のサブスクリプションを提供することはマーケティングの一種です。サブスクリプションを顧客に提供するなら、あなたの商品を日常の必需品として位置づけることができます。サブスクリプションビジネスモデルの構築は、他のマーケティング戦術よりも多くの労力を要するかもしれませんが、リピート顧客と収益を確保する非常に効果的な方法です。
商品にリフィルが必要な場合は、標準的なスケジュールで自動的に更新されるサブスクリプションモデルを作成できます。こうすれば顧客はストアを訪れる必要も、リフィルの必要時期を把握しておく必要もなくなります。たとえば、Fresh Patchは、ペットオーナーに水耕栽培された芝生を販売しており、全収益の80%をサブスクリプションから得ています。
一方、リフィルを提供する業態でない企業の場合は、月間商品のバンドルに対するサブスクリプションを提供できます。Package Freeは、環境に優しい家庭用およびボディケア製品を販売しており、顧客が豊富な商品ラインナップから自分のサブスクリプションバンドルを作成できるようにしています。
6. 平均、中央値、最頻値を活用する
平均注文額のアップは収益のアップにつながります。あなたが想像するより簡単に。平均注文額(AOV)をめぐる効果的な戦略を構築するには、注文の平均、中央値、最頻値を把握し、クロスセルとアップセルのやり方を理解する必要があります。
まずは以下のグラフと表をご覧ください。
- 平均:平均注文額(AOV)
- 中央値:すべての注文額の中間値
- 最頻値:最も頻繁に発生する注文額
デモストア「Kinda Hot Sauce」の注文の平均、中央値、最頻値を見てみましょう。
チャートからわかるように、平均注文額は24ドル(約3,588円)です。しかし、最頻値(最も頻繁に発生する注文額)は15ドル(約2,243円)です。最頻値が平均よりも低いですが、最頻値は注文状況をより正確に表す数字です。なぜなら、平均は低額購入や高額購入によって簡単に歪められるからです。AOVを上げる方法を考える時は、平均より最頻値を見るほうが重要です。増額したいのは最頻値です。
売主は、最も頻繁に発生する注文額を少し上回る注文で無料配送を提供するのが一般的です。AOVを押し上げるためです。たとえば、Kinda Hot Sauceで最も頻繁に発生する注文額は15ドル(約2,243円)なため、25ドル(約3,740円)以上の注文で無料配送を提供すると想像できます。
7. クロスセルとアップセル戦略を完璧に
無料配送の提供がビジネスモデルに合わない場合も心配は要りません。注文額を全体的に引き上げるため、クロスセルやアップセルなど他のオンラインマーケティング戦術を活用できます。
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クロスセルは、補完的なアイテムの購入を顧客に促すことです。クロスセル提案は、顧客がカートを閲覧している時に最も効果的です(実店舗で衝動買いを促すコーナーに似ています)。
(SellUpは、クロスセルに最適なShopifyアプリです。) - アップセルは、もっと高価な類似商品の購入を顧客に促すことです。アップセルは、顧客が特定アイテムの購入を検討する商品ページで展開すると効果的です。
クロスセルとアップセルは、魅力的な商品があるとき、顧客の10%~20%が平均的な顧客よりも多く支払う意欲があるという考えに基づいています。ですから、目標は、顧客が何を求めているかを理解し、それらの商品やワンランク上の商品を提示することです。アップセルやクロスセルの提案を自動化するツールを使用するか、メール・電話・ライブチャットなど別の方法で商品を宣伝できます。
これまでの顧客獲得は、次のような方法を使用します。
- 有料のソーシャルメディア広告
- コンテンツマーケティング
- 検索エンジン最適化(SEO)
- プレスリリース
- インフルエンサーマーケティング
- コンバージョン率の最適化
- メール登録を促すプロモーションコード
どの方法を選択するにせよ、ターゲットオーディエンスの中で高額支出する傾向のあるセグメントに向けてマーケティングを行いましょう。
8. 有料マーケティングから始める
有料のソーシャルメディアマーケティングやインフルエンサーマーケティングは、効果的なマーケティングチャネルです。商品の信頼性を高め、費用対効果の高い方法で販売を拡大するのに役立ちます。
だれかが自分の好きな商品について投稿し、フォロワー向けに固有の割引コードを提供するのを見たことはありませんか?それがインフルエンサーマーケティングであり、非常に効果的です。しかし、しっかりしたマーケティング戦略なしにソーシャルメディアで人気を得ることはできません。
仕組みはこうです。ブランドは、自社商品を気に入ってくれそうなインフルエンサーにアプローチします。インフルエンサーが自分のソーシャルメディアプラットフォームで商品について話す対価を提供します。金銭的な報酬かもしれませんが、多くのブランドは代わりにインフルエンサーに商品を無料で提供します。
報酬を受け取ったインフルエンサーは、合意した回数だけ自分のソーシャルメディアプラットフォームで商品について話します。たとえば、インフルエンサーにInstagramで商品について2回投稿するよう依頼したり、1回のInstagram投稿と1回のInstagramストーリーの特集に合意したりできます。ターゲットオーディエンスに最も響くと思う方法を採用します。ターゲット市場に大人気のインフルエンサーに商品を宣伝してもらうなら絶大なマーケティング効果を発揮できるでしょう。
Glossierはインフルエンサーマーケティングを利用して、Instagramでリップグロスを宣伝しています。
あるいは、TikTok、Instagram、Pinterestなどのソーシャルメディアプラットフォームに料金を支払って広告を掲載する方法もあります。ソーシャル広告を自分で設定することもできますし、広告をデザインし、コピーを制作し、最適なチャネルに配置するのを手伝ってくれるエージェンシーと協力することもできます。
9. 教育的なSEOコンテンツを公開する
コンテンツマーケティングや検索エンジンマーケティング(SEO)のようなチャネルで長期的な戦略を展開する方法です。コンテンツマーケティングは、ブログ投稿、動画、ソーシャルメディア、ポッドキャスト、メールなどのオーガニック(有料ではない)ツールを使用して、特定のニッチなトピックに関してターゲット市場を教育するやり方です。
コンテンツマーケティングの目標は、Google検索の最初のページにランクインするようにコンテンツを最適化し、ブランドの可視性とウェブサイトのトラフィックを増加させることです。コンテンツを作成する方法は、時間が経つにつれて利益が増えていくマーケティング戦術です。有料広告で獲得したトラフィックは、支払いを停止すると消えてしまいますが、コンテンツマーケティングからのオーガニックトラフィックは、うまく行えば著しい成長をもたらします。
たとえば、Four Sigmaticは、クラッシュフリーコーヒーを専門とし、顧客教育に多くの時間を投資しているブランドです。その結果、多くのオーガニックトラフィックを獲得しています。
10. トラフィックのコンバージョン率を上げる
すでにショップにしっかりとしたトラフィックが流入している場合、トラフィックを増やすことではなく、現在のトラフィックを顧客にコンバートすることに焦点を当てるべきです。これをコンバージョン率最適化(CRO)と呼びます。
CROは自動化が簡単で、トラフィックを「買う」よりもコストが低く、有料トラフィックの投資収益率(ROI)を改善します。
考えてみてください。ファネルを使って手洗いソープの容器を補充していますが、ファネルは穴だらけで、大量のソープが漏れ出ています。あなたの顧客ファネルもきっと同じ問題を抱えているでしょう。たくさんのソープを買うのではなく、ファネルを修理してお金を節約しましょう。
商品マーケティングに関するFAQ
新商品をどのようにマーケティングしますか?
商品に市場の需要があることを確認し、有料マーケティングから始め、オーガニックマーケティング(SEOやブログ投稿、動画、ソーシャルメディア、ポッドキャスト、メールを通じて)を導入し、ウェブサイトのトラフィックのコンバージョン率を高めます。
顧客を引き付けて商品購入を促すには?
商品を効果的にマーケティングするには?
次の3つの主要成果に焦点を当ててください。